こんにちは。QAエンジニアの橘です。
JSTQBの試験について、従来紙ベースであった試験がCBT(パソコンを使った試験)に移行されることが発表されています。
JSTQB、「コンピュータによる認定試験」の導入準備を開始 | ICT教育ニュース
JSTQBとは、日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定の運営組織で、 各国のテスト技術者認定組織が参加しているISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織として2005年4月に認定されています。(JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQBについて-より引用)
CBTでの試験は10月以降とアナウンスされていますが、
開催時期についてご質問を頂きました。
— JSTQB広報ワーキンググループ (@JSTQB_PR) July 1, 2022
CBTになる10月以降の試験の開催は、今までの年2回(2月と8月)ではなく随時受験できるようになります。ご確認、お願いいたします。
ご質問がありましたら、お気軽にリプライください。
どうぞ、よろしくお願いいたします。#JSTQB
待てなかったのでISTQBでTest Analystを受けてきました。
無事合格したので、受験までの流れや勉強方法について書いていきたいと思います。
ISTQB Test Analystとは
ISTQB Advanced Level Test Analyst(以下AL-TA)とはISTQBによる認定資格で、試験ではテストプロセスのうちテスト分析、テスト設計、テスト実装、テスト実行を行う者として必要な知識があるかどうかが問われます。
受験には下位資格であるISTQB Foundation Level(以下FL)の合格が必要になります。
JSTQBのAL-TAの受験には業務経歴申請書の提出が必要でしたが、ISTQB試験の提供団体であるBrightestに問い合わせたところISTQBのAL-TAではそうした書類は不要とのことでした。
CBT化後のJSTQBのAL-TA試験で業務経歴申請書の提出が必要になるのか気になるところです。
AL-TAの受験方法
英語での受験になりますが、ISTQBのAL-TA試験は日本のテストセンターで随時受験することができます。 以下受験方法になります。受験料は225ユーロ(約3万1700円)です。
※2022年6月時点での手順なので、今後変更がある可能性もあります。
- BrightestのSign inページでアカウントを作成します。
- 試験カタログからISTQB® - Certified Tester Advanced Level - Test Analyst (2019 Syllabus)を検索して選択します。※Technical Test Analystと間違えないように注意
- 試験の受験場所は「At a test center」を選択します。
- 受験の際の言語は「English」を選択します。
- training providerを選択し、re-sit(再試験)であるかどうかを回答します。training providerについては僕の場合は自習での受験だったので「No Training Provider (Self-Study)」を選択しました。
- Consecutive Appointments(連続して試験予約)をするかどうかについての画面では、そのまま「Next」で次の画面に行きます。
- Admission PolicyやReschedule Policyなど諸々のポリシーが表示されるので、読んでから「Agree」で次の画面に行きます。
- 当日の受験場所であるテストセンターを選択します。東京の場合は新宿、池袋、秋葉原など各地のテストセンターを選択できます。
- 試験日と開始時間を選択します。カレンダー上で選択可能な日付と時間が表示されるので都合の良い日時を選択します。
- 申し込み内容を確認し、「Proceed to Checkout」で支払い画面に行きます。
- クレジットカードを選択し、各種情報を入力して支払いを行います。
AL-TAの試験内容
https://www.istqb.org/certifications/test-analystのシラバスに沿って
- テストプロセスにおけるテストアナリストのタスク
- リスクベースドテストにおけるテストアナリストのタスク
- テスト技法
- ソフトウェア品質特性のテスト
- レビュー
- テストツールおよび自動化
の6分野から選択式の問題が40問出題されます。
各問題の配点は同じではなく1〜3点のいずれかで、80点満点です。より難しい問題ほど配点が高くなっています。65%(つまり52点)以上の得点で合格となります。
試験時間は120分です。なので1問あたり2分〜3分で解答する必要があります。
なお試験終了後に紙でスコアレポートを受け取れるので試験結果はすぐに分かります。
AL-TAの勉強方法
AL-TAの試験勉強にあたって、以下のものを参考にしました。
- https://www.istqb.org/certifications/test-analystにて公式が提供しているAL-TAのサンプル問題
- JSTQBから提供されているシラバスの日本語版(https://jstqb.jp/syllabus.html)
- Advanced Software Testing - Vol. 1, 2nd Edition(https://www.amazon.co.jp/-/en/Rex-Black/dp/1937538680/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=)※先輩に貸してもらいました
- 社内のAL-TA合格者の知恵
シラバス日本語版を読んでからサンプル問題を解き、サンプル問題の解説やAdvanced Software Testingを読んで理解を深めつつ、個別の用語については社内で質問したりネットで調べたりしました。
またAdvanced Software TestingはAL-TAを意識していてサンプル問題もあるので(ただし品質特性などは内容がやや古い)、シラバスとの整合性に注意しながら追加で解きました。
試験勉強のTips
第3章「テスト技法」と第4章「ソフトウェア品質特性のテスト」からの出題が体感的に全体の7割くらいを占めるので、これらの分野を比較的重めに勉強しました。
第3章「テスト技法」
- 同値分割法や境界値分析などFLで出題されたテスト技法に加え、クラシフィケーションツリー技法・ペアワイズテストなどについて出題されます。各テスト技法を理解して正しく適用できるかが問われるので、サンプル問題やソフトウェアテスト技法練習帳などで実際に手を動かしてみるのがいいかと思います。
- 経験ベースのテスト技法(エラー推測、探索的テストなど)についても出題されます。
- テスト技法をどのような場面で適用するのがいいかについて、シラバスを読んで理解しておきましょう。
第4章「ソフトウェア品質特性のテスト」
- ISO/IEC 25010の製品品質モデルをベースに出題されます。シラバスに記載されている品質特性/副特性にはどのようなものがあるか、品質特性のうちテストアナリストという役割において重視するものがどれかを押さえておく必要があります。
- 特に機能適合性(functional suitability)の副特性の機能正確性(functional correctness)・機能適切性(functional appropriateness)・機能完全性(functional completeness)については、提示されたテストケースはこれらのどの副特性をテストするものか、あるいは与えられたシナリオにおいてどの副特性のテストをするのが適切かといった形で出題されます。それぞれの副特性の自分なりの理解は以下のような感じです。
- 機能正確性(functional correctness):不正な動作がないか
- 機能適切性(functional appropriateness):ニーズを満たしているか
- 機能完全性(functional completeness):要求に対する実装の網羅度
全体
- 問題文が基本的に長いので、長めの英文を読むのに慣れておいた方がいいと思います。
- 1つのシナリオに複数の設問があるという形式の問題が4組ほどあります。解いていてTOEICのリーディングセクションを思い出しました。
- 1シナリオ複数設問の問題ではモニターの左半分にシナリオ、右半分に設問が表示されます。場合によっては文章全体が1画面に収まらないのでやや見ずらいですが、シナリオと設問の画面領域の幅はマウスのドラッグで調節できます。
受けてみた感想
文章が長い問題が多く試験時間120分をほぼ使い切る形になり、なかなか集中力を要求されました。元気な状態で受験したいですね。
また、AL-TAの勉強を通してテスト技法や品質特性について理解を深めることができたと思うので、これからの業務に活かしていきたいです。
以上、参考になれば幸いです。